「大分県のo氏のサイトより引用」
「あなた方が開発された装置では、確かに『白い泡』がよく出てきました。問題は、それがなぜ白いのかです。その理由は、そのサイズにおいて50~80㎛程度の気泡が比較的多く発生していたことによるものであることにありました。
それでは、この白い泡が発生する水の物理化学的特性を調べてみましょう。
これについては、何か、調べておられますか?」かれらは、無言のままでした。
「それでは、最も一般的で、必ず計測する必要がある、水素イオン濃度を計測してみましょう。ここに、高性能の水素イオン濃度計(HORIBA製)があります。まずは、これで計ってみましょう」すると、どうでしょう。水道水中において白い泡を発生させると、その値は徐々に下がりはじめました。
「これは、弱酸性化の傾向を示していますが、これまでに、このような計測をしたことがありますか」かれらは、ますます目を丸くして、黙ったままでした。白い泡の正体が解明され、さらに、その液体の性質まで明らかになり始めて、おそらく何もいうことができなくなったというか、問題の所在がかれらの水準を超え始めたからだと思います。
時間経過とともに、その弱酸性化は、さらに進行していました。「この弱酸性化の特性は、私どもが開発した超高速旋回式の装置とは明らかに異なっています。その装置では、反対に弱アルカリ化の傾向を示しますので、互いに相反する特性を有していることになります」
ここで、その整理をしておきましょう。
発生方式 泡の見え方 液体の性質
加圧溶解式 白い泡(白濁泡) 弱酸性化
超高速旋回式 白濁化しない 弱アルカリ化
ここで重要なことは、マイクロバブルを発生させる装置において、その方式が異なれば、そこで発生するマイクロバブルの物理化学的特性も異なることが明らかになったことでした。
この結果は、かれらが期待していたこととは明らかに違っていました。
その期待(あるいは念願ともいってよいでしょう)とは、同程度のマイクロバブルであれば、その発生方式は異なっても、同じ性質を持ってほしいというものでした。具体的には、かれらが持参した装置が、私どもの装置と同じ性能を示してほしいという念願でした。しかし、それは、明らかに「期待外れ」になってしまったのでした。この結果は、かれらの「期待外れ」にとどまらず、その後において次のような影響を与えることになりました。
①まず、同じサイズのマイクロバブルであれば、その性質はみな同じであると主張していた理論計算の方々の思惑を粉砕することになりました。
かれらの思惑には何も根拠がありませんでしたので、その証拠を前にしては、もろくも崩れ去るしかありませんでした。
しかし、かれらの多くが、物理モデルを用いての計算手法を採用していましたので、そこに科学的特性を考慮することは、至難のことであり、その苦労はいまだに継続しているのではないでしょうか。
②マイクロバブルの発生方式が異なると、マイクロバブルの性質が異なる、この結果は、実験家にとっても重要な影響を与えました。
当初は、自分が用いたマイクロバブルの発生装置を示さない、あるいは意識的に隠す傾向の方までいて、どのような装置を用いてマイクロバブルを発生させたかについては、あまり重要視されていませんでした。
実験屋においても、私どもの方式とは違う方式でマイクロバブルを発生させても、その特性は、自分が造った装置においては、その性質が同じであると思いたかった方もいたようでした。この願望に近い、そしてあいまいな見解が流布されることによって、当然のことながら、そこには社会的に混乱が起きていくことになりました。
そのことは、各種のインターネット上のマイクロバブル装置に関する宣伝を見れば明らかであり、装置はいろいろと異なっていても、マイクロバブルの性質は、奇妙にも同じであるという主張が繰り広げられています。
しかし、最近は、あるマイクロバブルウォッチャーの言によれば、この混乱はだいぶ治まってきたそうです。
上記の傾向は、ナノバブルにおいても指摘でき、ナノバブルが、どのような物理化学的性質を示すのかにおいて、いまだ、その科学的性質が十分に明らかになっていないように思われます。
おそらく、ナノバブルの存在によって、何かが起こる、起こってほしいと考えられているのではないかと推察しています。そうであれば、そのことをもっと積極的に探究していただきたいと思います。
昨年のマイクロ・ナノバブル学会において、ナノバブルのことを強調される方々に、そのことを質問してみましたが、そのほとんどにおいて、私が満足できるような回答を得ることができませんでした。
今年も、12月18日に、その学会に参加する予定ですので、2年越しになりますが、そのことをより詳しく尋ねてみようと思っています(つづく)。